パイピング修理を自分で行う際の方法・注意点を紹介
バッグなどの縁取りに用いられるパイピングは、デザイン性と補強の役割を担う重要なパーツです。しかし、長年の使用によって擦り切れや剥がれなどの損傷が発生することがあります。
パイピングの修理は専門店に依頼するのが一般的ですが、実は自分でも補修可能なケースも少なくありません。
本記事では、パイピングのトラブルの種類や原因、自分で修理する際に必要な道具・材料、具体的な修理方法、注意点などを詳しく解説します。ご自身のお気に入りのバッグのパイピング修理に、ぜひ参考にしてみてください。
目次
パイピングの修理は自分でできる?
パイピングの修理は、破損や劣化の程度によっては自分でも可能です。小さな擦り切れや剥がれ程度なら、裁縫の基本的なスキルと適切な道具・材料があれば、自分でも補修できるでしょう。
しかし、大きな破損や著しい劣化が見られる場合は、自分で修理するのは難しいケースもあります。パイピングの交換が必要なケースや、周囲の生地も傷んでいる場合は、専門的な技術と知識を持つプロへの依頼がおすすめです。
特に、高価なブランド品やデリケートな素材のアイテムは、自分で修理しようとすると、かえって悪化させてしまうリスクもあります。
プロの修理業者なら、パイピングの素材や周囲の生地に合わせて、最適な補修方法を選択してくれるでしょう。また、修理後のアイテムの耐久性や見栄えにも配慮してくれるので、安心して任せられます。
パイピングのトラブルの種類と原因
パイピングは、バッグのパーツの中でも負荷がかかる機会が多い箇所なので、さまざまなトラブルが起こりやすい場所です。代表的なトラブルの種類と原因は以下の通りです。
- 擦り切れ・破れ
- 剥がれ
- 変色・色あせ
こういったパイピングのトラブルは、素材の特性や使用状況によって発生頻度や程度が異なります。日頃からパイピングの状態をチェックし、トラブルの兆候を早期発見することが大切です。
それぞれのトラブルについて詳しく見ていきましょう。
擦り切れ・破れ
パイピングは、使い込むうちに擦り切れや破れが生じることがあります。原因としては以下のようなものが考えられます。
- 長期間の使用による摩擦や負荷
- 鋭利なものとの接触
特に端の部分は力が加わりやすく、擦り切れや破れが起こりやすい箇所です。小さな破れであれば、裁縫道具を使って自分で補修できる場合もありますが、破れが大きい場合は専門店への修理依頼がおすすめです。
破れを放置しておくと、さらにダメージが広がってしまうおそれがあるので、早めの対処が大切です。日頃からパイピングの状態をチェックし、破れや擦り切れを見つけたらすぐに修理しましょう。
剥がれ
パイピングの剥がれは、長期間の使用や摩擦などが原因で発生します。特に、パイピングの縫い目周辺で発生しやすい傾向にあります。
小さな剥がれの場合は、接着剤などで修理できます。大きな剥がれの場合は、パイピングの交換になってしまうので、自分では難しいかもしれません。剥がれの程度に応じて、適切な対処をしましょう。
剥がれを放置するとさらに大きな損傷につながるおそれがあるため、早めの補修やお手入れを心がけてください。
変色・色あせ
パイピングの変色や色あせは、摩擦や経年劣化、お手入れ不足が主な原因です。変色・色あせしたパイピングを、完全に元通りにするのは難しいです。自分で修理する場合は、目立たなくする対処をしましょう。具体的な方法としては、パイピングと同系色のクリームやマーカーを使って色をつけていくのがおすすめです。詳しいやり方は次項で解説していきます。
自分でパイピング修理する際に必要な道具・材料
パイピングの修理に自分で取り組む際は、以下のような道具や材料を事前に用意しておきましょう。
- 裁縫道具(針、糸、はさみなど)
- 接着剤・補修材
以上の道具や材料があれば、軽微なパイピングトラブルには対応できるはずです。ただし、パイピングの素材や劣化状態によっては、専用の補修材が必要になることもあります。自分で修理するのが難しそうな場合は、無理をせずにプロに依頼することも検討しましょう。
裁縫道具(針、糸、はさみなど)
パイピングの修理を自分で行う際には、以下のような裁縫道具を用意しておくと良いでしょう。
裁縫道具 | 用途 |
針 | パイピングの縫い付けや補修に使用。 |
糸 | パイピングの縫い付けや補修に使用。素材に合わせて選ぶ。 |
はさみ | 破れたパイピングの切り取りや布地のカットに使用。 |
指ぬき | 針を使った手縫いの際に指を保護するために使用。 |
定規 | パイピングを切る際に、まっすぐにカットするのに使用。 |
これらの道具は100円ショップなどでも手軽に揃えられますが、針や糸は修理箇所の素材に合ったものを選ぶようにしましょう。例えば、革素材のパイピングには革用の針と糸、ナイロン素材にはナイロン用の針と糸を使うのがおすすめです。素材に適した道具を使うことで、よりきれいに修理できます。
接着剤・補修材
パイピング修理に使用する接着剤や補修材は、パイピングの素材に合ったものを選ぶ必要があります。
バッグの素材が綿・麻の場合は布用接着剤やアイロン接着テープ、合成繊維の場合は多用途接着剤や瞬間接着剤がおすすめです。革の場合は、革用接着剤を使用するのが良いでしょう。
補修材を使用する際は、接着剤が周囲の生地に付着しないようマスキングテープなどで養生しましょう。また、接着剤が完全に乾燥するまで十分な時間をかけることが大切です。
自分でパイピング修理する方法
パイピングの小さな破れ・剝がれ、変色・色あせ程度であれば、自分で補修可能です。
症状ごとに詳しく解説していきます。
小さな破れ・剥がれの補修
パイピングの小さな破れや剥がれの補修は、下記2つの方法がおすすめです。
- 接着剤を使った簡易補修
- 縫い付けによる補修
それぞれの補修方法について見ていきましょう。
接着剤を使った簡易補修
パイピングの小さな剥がれや破れは、接着剤を使った簡易補修が有効です。接着剤と爪楊枝、ウェットティッシュを用意しましょう。
補修の手順は以下の通りです。
- 剥がれたパイピングの内側に接着剤を塗布します。爪楊枝を使って細部までしっかりと塗布しましょう。
- パイピングを元の位置に戻し、しっかりと押さえ付けます。
- はみ出した接着剤はウェットティッシュで拭き取ります。
- 接着剤が完全に乾くまで(24時間程度)固定したままにします。
接着剤の量が多すぎると周囲に付着するおそれがあるため、最小限の量にしましょう。また、指定の乾燥時間を守り、完全に接着剤が乾くまで待つことも大切です。ただし、本革素材の場合は、接着剤での補修は難しいので、縫い付けによる補修を検討しましょう。
縫い付けによる補修
縫い付けによる補修は、以下のような手順で行いましょう。
- パイピングの素材にあった布を、破れや剥がれの箇所を覆う様に当てます。
- パイピングの素材に合った糸で縫い付けます。
- 縫い目がほつれないように、縫い目の始末をしっかり行います。
縫い付けによる補修は、多少の手間はかかりますが、パイピングをしっかりと付け直せます。
しかし、パイピングの縫い付けは曲線部分の処理など、熟練の技術がないと美しく仕上げるのは困難です。きれいに仕上げるためには、ある程度の裁縫スキルが求められるでしょう。パイピングを丸ごと交換する場合は高度な技術が必要となるため、プロへの依頼がおすすめです。プロの修理業者なら、豊富な経験と高い技術力で、パイピングを元通りに交換してくれるでしょう。
変色・色あせの補修
パイピングの色あせや変色は、経年劣化や日光などが原因で起こります。自分で補修する際は、以下の方法を試してみましょう。
- 補色用のクリームを使う
色あせしたパイピングと近い色の補色用のクリームを選びます。
パイピングと違う色のクリームを選択してしまうと、シミのようになってしまうため、注意をしながらクリームを塗ります。
- ファブリックマーカーやペイントを使う
パイピングの色に近いファブリックマーカーやペイントを用意します。
目立たない部分で色合いを確認しながら、少しずつ着色していきます。
ただし、変色・色あせが著しい場合は、パイピングの交換を検討した方が良いでしょう。自分で補修するのが難しいと感じたら、専門店に相談するのもおすすめです。
自分でパイピング修理する際の注意点
パイピング修理を自分で行う際は、以下のような点に気を付けましょう。
- 素材に合った補修材を選択する
- 周囲の生地を傷つけないように注意する
- 修理後のお手入れも忘れず行う
それぞれの点について詳しく解説します。
素材に合った補修材を選択する
パイピング修理を自分で行う際は、修理箇所の素材に合った補修材を選ぶことが大切です。素材と相性の悪い接着剤や生地を使用すると、見た目の違和感が生まれてしまうだけでなく、かえって損傷を広げてしまうおそれがあります。また、補修材だけではなく、糸などもバックと同じ素材にしなければいけません。
例えば、バッグの素材が綿の場合は綿糸、ナイロンならナイロン糸、革なら強度のある強い糸など、素材ごとに糸の種類を変えましょう。
パイピングの素材が不明な場合は、目立たない箇所で事前にテストをしてから補修材を選択しましょう。素材に適した補修を行うことで、パイピングを美しく修復できます。
周囲の生地を傷つけないように注意する
パイピングの修理では、破損したパイピング部分だけでなく、周囲の生地にも細心の注意を払う必要があります。特に、以下の点に注意しましょう。
- 修理の際は、周りの生地を引っ張ったり、無理な力を加えたりしないようにする。
- 針を刺す際は、パイピングと生地の境目を狙って、生地を傷つけないよう慎重に行う。
- 接着剤を使用する場合は、はみ出さないよう塗る範囲に気を付ける。
周囲の生地へのダメージは、修理後の見栄えに大きく影響します。生地の素材に合わせ、慎重に作業を進めることが大切です。
修理後のお手入れも忘れず行う
パイピングの修理が完了したら、修理部分のお手入れをしっかりと行いましょう。修理箇所の素材や補修方法に応じて、以下のようなお手入れをおすすめします。
- 補修箇所を柔らかいブラシや布で優しく払い、ほこりや汚れを取り除く
- 縫い付けた場合は、縫い目のほつれがないか確認する
- 接着剤を使用した場合は、十分に乾燥させたのち、残った接着剤を丁寧に取り除く
修理後も定期的にお手入れを行うことで、パイピングを長く美しく保てます。お手入れの際は、素材を傷めないよう優しく丁寧に行うのがポイントです。
パイピングを自分で修理できるか判断する基準
パイピングの自分での修理が可能かどうかは、以下の基準で判断しましょう。
- 破れ・剥がれが小さく局所的である
- パイピングの生地と本体の素材の相性が良い
- 修理に必要な道具や材料が揃っている
- 縫製や接着の技術に自信がある
以上のような条件が揃っていれば、自分でパイピングの修理にチャレンジしてみるのも良いでしょう。
ただし、破損が大きく広範囲に及んでいる場合やパイピングの角に穴が開き、芯が飛び出しているような場合は、プロへの修理依頼をおすすめします。
下手に自分で修理すると素材を傷つけたり、仕上がりが悪くなったりすることがあります。無理をせず、プロの技術に頼ることも賢明な選択だといえるでしょう。
ビジネスリュックの修理はバッグラボにお任せください
自分で修理が難しいパイピングの剥がれや破れは、バッグ修理の専門店バッグラボにお任せください。バッグラボは、高度な経験と技術力を持つ鞄のお手入れ・修理の専門店です。
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バッグラボのパイピングの修理事例
バッグラボで修理した事例をご紹介します。
ルイ・ヴィトンのパイピング補修の事例
Before
After
修理価格:11,000円(税込)
こちらの事例では、擦り切れた部分を元に近い状態まで補修いたしました。
日常的にバッグを使用しているとパイピングも消耗しやすく、こちらの事例のように角が擦り切れてしまうことがあります。パイピングの芯を修復するのは難しい作業です。より長く大切にバッグを使うためにも、パイピング補修はバッグラボにお任せください。
パイピング部分補修の事例
Before
After
修理価格:3,300円(税込)
バッグの底面角のパイピングが一部擦り切れてしまっていたため、部分補修しました。
バッグ底面はどうしても擦れやすく、パイピングが擦り切れてしまう場合もあります。太さや色が近い素材を使った補修を行い、作業箇所が目立たないような修理を行いました。
バッグラボの修理事例は、公式サイトからご確認ください。
まとめ
パイピングの修理は、破れや剥がれの程度によっては自分でも対応可能です。しかし、素材に合った補修材の選択や、周囲の生地を傷つけないよう慎重に作業する必要があります。
しかし、大きな破損やパイピングを丸ごと取り替える場合はある程度の裁縫スキルが求められます。自分での修理が難しそうだと感じた場合は、無理せず専門店に修理を依頼することをおすすめします。パイピングの修理には素材や技術の理解が必要なため、不安な方はプロにお任せするのが賢明です。修理後は、定期的なお手入れで、パイピングを長く美しく保ちましょう。